2011年3月7日月曜日

[diary]ビシュケクからアルマティへ

ビシュケクからアルマティへ

2009/02/11(水) アルマティは霧雨 2度程度
[Bishkek:Kyrgyzstan→Almati:Kazakstan]
レート:1米ドル=147テンゲ=90円、1ユーロ=180テンゲ=118円

・マルシュルートカで1時間待ち
・国境越え
・移動中にて
・マルマティ着
・日本大使館出張駐在館事務所閉館日

ビシュケクの宿,南旅館。

昨晩もやや夜更かししたため、やや寝坊。時計が動いていないから何時かわからない。

とにかく宿を出る支度をして、玄関前に荷物を移動させる。そして鍵を返そうと宿主の部屋をノックするが誰も出てこない。なので、別室で寝ている旅行者を起こして鍵を頼む。

歩いて近くのバス乗り場まで行き、そこで132番のマルシュルートカに乗る。通勤者などで満席になっていたら面倒だなと思っていたが、幸い空いていた。運賃8ソム(約20円)。

道の渋滞はいつも通り。距離のわりに時間がかかる。

30分ほどかかって終点の西バスターミナルに到着。すぐ近くのアルマティ行きのマルシュルートカ乗り場に移動する。20代前半くらいのロシア系男性が客引きをしていて、彼に運賃を確認してから荷物を後部に乗せてもらう。車はメルセデスベンツのスプリンターという大型ワゴン。助手席に2人、後部座席に15人ほど乗れる。また後部座席の正面上部にはソニーのテレビが備え付けられている。

彼に出発時刻を聞くと7~8人集まったら出ると言うので、両替と買い物に行く。バスターミナルの敷地内にある両替所で昨日オシュバザールの両替所で拒否された10米ドル札を使ってテンゲを入手する。ソムを間に挟むため1米ドル=135テンゲになる。

カザフスタンは物価が高いらしいので、ここで食料を少し買うことにする。残っているソムでパンを買う。1枚10ソム(約25円)。

それから車に乗り込み、書き物をしたりしながら発車を待つ。ぼくの次に乗り込んできたおばちゃん二人は待っている間、何度か運転手の彼を呼び、いつ出るのかと聞く。そのたびに彼はあと何人集まったらと答える。

車に乗車したのが9時40分頃。そして、ようやくそこそこの乗客が集まり、発車したのは10時35分頃だった。

運転手は東バスターミナルにも寄って、そこで数人の客を集めてくる。結局車内は8割程度埋まる。

テレビではバスターミナルで待っている間からすでに映画が流されていて、乗客の何人かはずっと画面を見続けている。ロシア映画(ロシア語)なのでぼくにはさっぱりセリフがわからないのだが、映像を見ているだけでもコメディ映画だということはわかる。

20分ほど走るとなだらかな平原が左右に広がる。雪がところどころに残っている。

11時半前、カザフスタンとの国境に到着。車からみな荷物をおろし、客は客でイミグレの方へ行き、車は車で車チェックの方へ行く。

カザフやキルギスの人はパスポートではなく、身分証だけで国境を行き来できるためさらさらと行ってしまう。ぼくは一人外国人用のボックスに行く。面倒くさいことがなければいいが、と思っていたが、杞憂に終わる。数秒でスタンプをもらい、さっさとキルギス出国。

そこから歩いて50mほど行くとカザフのイミグレがある。こっちはいくらか行列ができていた。パスポートコントロールの窓口の女性にパスポートを渡す。ロシア語はしゃべれるかとロシア語で言われ、少しだけと答える。カザフスタン入国の目的やこの後どこに行くかを聞かれる。最後に気になっていた滞在登録は必要かと彼女に聞くと必要ないとのことだった。

その後、荷物チェック。チェックの方法は機械に通すだけ。税関申告もしないといけないかと思っていたが、3000米ドル以上の現金などを持っていなければ必要ないらしい。言葉がわからなかったので、申告書を一通り書いたのだが、担当の人はぼくが書いた所持金額を見て申告は不要と言う。ただ、そこへ人相の悪い別の係官が来て、ここでカネを数えて見せろと言うようなことを言う。そんなことする必要はないと言うと、担当の係官も必要ないと彼に言う。彼もカネを抜き取ろうとでも考えていたのだろうが、まともな担当者のおかげでさっさと抜けることができる。

これで入国完了。イミグレを出たところには両替屋やガソリンスタンドがあり、タクシーの客引きなどもいた。

車のチェックの方が時間がかかり、ぼくらはしばらく待たされる。

12時過ぎようやく車がやってきて、再度乗り込む。

車窓からはうねうねと波打っている丘陵が見える。木はない。ときどきその丘陵を羊の群を連れて歩いている人たちを見る。

車内では1作目の映画が終わり、新たな映画が始まる。今度もちょっとしたコメディ映画。言葉がわからなくてもそこそこ楽しめる。

道路はきれいに整備されているため、車は上下に揺れたりすることはない。

2作目の映画が終わるともう映画は流されなかったので、暇になる。車窓からは白くなった木々や遠くに雪山を見る。その景色からビシュケクよりもずいぶん気温が低いことがわかる。車内は暖房が効いて十分暖かいためときどき寝る。休憩はなし。

だんだんとアパート的な建物が増える。ビルのてっぺんにアルマティとキリル文字で書かれている文字板を見る。車はそこをいったん素通りして、Uターンしてそのビルの下の駐車場に入る。そこが終点のサイランバスターミナルだった。

車から降りるとタクシーの客引きがやってくる。リュックを受け取り、運転手にトロリーバス乗り場を聞く。指さして教えてくれたので、そちらに行く。

さっきまで暖かい車内にいたためか外がやけに冷たく感じる。実際に気温もゼロ度前後なのかもしれない。手は外に出していたらすぐに冷えて動かなくなる。

ちょうどその乗り場に着こうというときに乗る予定の19番のトロリーバスに追い越され乗ることできず。すぐに来るかと待っていたが、これがなかなか来ない。

20分ほど待ってやっとやってきたトロリーバスに乗る。乗って驚いたのは、自動精算機が使われていたこと。しかも精算機は違う形のものが2台並んでいて、片方にオカネを入れると片方からお釣りが出てくる。なぜ二つに分かれているのか気になる。ちなみにお札は使えない。ちゃんとお釣りが出るのはすばらしい。乗客はみなこの機械で運賃50テンゲ(約30円)を払い込み、チケットを手に入れる。

無事に乗り込んだはいいものの、乗って10分もするとどうも中心部とは反対の方向に行くものに乗ったことに気づく。ただ、幸いなことに終点まで20分足らずだった。

先に出るトロリーバスに乗りかえ、出発を待つ。10分ほど待つと発車。

さっきも通った道を通って中心部に向かう。旧ソ連のまちらしく街路樹が多い。それから霧が深い。

ガイドブックではぼくが泊まる予定をしている宿の近くの交差点まで20分ほどとあったのだが、なかなかそれらしきところに着かない。いつまでたっても木立の多い幅広の道路。全体的に暗い。中心部に来たとわかるような明るさがなかなかやってこない。

と、突然、交差点にどでかい電光掲示板を見る。バレーボールコートの半面はあろうかというくらいでかい。電光掲示板には動画の広告が次々と流れる。その他にもここほどでかくはなかったが、いくつか広告用の電光掲示板を見る。

周りの建物に書かれている通り名を読みながら、地図で現在地を把握しようとするが、通り名が地図上に載っていなかったりしてよくわからない。

その様子を見ていたらしい初老の男性がロシア語で話しかけてくる。どこに行きたいのかと聞いてくるので目印の大学名を伝えるが、彼は知らないよう。そこへその男性の前に座っていたマラソンの有森裕子似の女性が英語でどこに行きたいのかと聞いてくる。それで目安の通り名を伝えると、そこに着いたら教えてくれると言う。

ホテルらしき建物などがいくつか見え、いくつかの交差点を越えた頃、女性が次だからと教えてくれる。停留所は目的の通り(今走っている通りとは交差している)を通り過ぎたところにあるらしく、彼女は一度戻らないといけないということまで教えてくれる。だが、ちょうど信号待ちのために目安の通りとの交差点でバスが止まったので、そこで運転手にお願いしてドアを開けてもらい、降りる。

外は霧。地図を見ながら宿を目指す。右手にエッフェル塔を模したらしい作りものが見える。高さは20mほどあり、材質も普通の鉄塔と同じだからただの見せ物なのか、それとも実際に電波塔かなんかで使っているのかよくわからない。ただ、それはホテルの入り口に建てられているので、おそらく作りものなのだろう。ホテルの入り口の軒とエッフェル塔の模造品はくっつくような距離にあるから、ごちゃごちゃしていてあまり見た目にはきれいではない。

歩いていても霧の水滴を感じるほど、霧は濃かった。地図からするとそろそろ着いていいような場所にきたのだが、それらしきところが見あたらない。なので、近くにいた若い男に聞く。ロシア語で話しかけたのに相手には通じておらず、英語はわからないと言われ、英語ができる友達を携帯電話で呼び出してくれる。その友達はすぐ近くにいたようで、すぐに現れた。彼に聞くとこの先を左に曲がったところにあるという。

だが、ぼくが行きたかった宿は隣の建物だった。入り口の看板を見て確認。2階の受付に行く。学生寮をホテルとしても解放しているところらしいことは聞いていた。2階にあがると確かに学生くらいの年齢の女の子たちが廊下にいて、ぼくの姿を見ると友達同士で何かを言い合う。どうせ髪が長いだの、髭がどうのだと言っているのだろう。

受付の女性は慣れたものでさっさと手続きをしてくれる。何泊するか聞かれ、とりあえず2泊と伝える。部屋は416号室。ドミトリーで1泊1000テンゲ(約700円)。部屋に誰かいるらしく鍵はもらわず。

階段を上り最上階へ。416号室のドアを開けると背の高い若い男が一人いた。「ズドラーストヴィチェ」とロシア語で挨拶すると、挨拶が返ってきた後で「ニホンジンデスカ?」と日本語で聞かれる。ビシュケクで会った日本人がこの宿で韓国人と一緒だったと言っていたのを思い出し、彼がそうかと合点する。

彼は日本語はほんの少しだけ知っているらしい。会話は英語。彼はお茶を淹れてくれる。ありがたくいただく。

聞くと彼はイギリスの大学に通う大学生で、専攻はロシア研究(特にロシア語)らしい。大学の制度上、在学中にロシアに1年滞在しなくてはいけないらしく、今は休みでカザフスタンを旅行していると言う。この後、ウズベキスタンなどにも行く予定らしい。

お茶を飲み干してからぼくは外に出る。滞在登録(レギストラーツィア)の件で日本大使館に確認したいことがあったので、まずは日本大使館に向かう。

日本大使館への道は緩やかな下り道。霧が濃くてあまり見通しは良くない。暗い。沿道には映画館、スーパーやしゃれたカフェなどを見る。それだけでもキルギスとの違いを感じる。HSBCというイギリス系の銀行があったりするのも違う。外資が入っているレベルが明らかに違う。それからATMもあちこちに見る。

通りを歩く人は少ない。日本大使館(正確には出張駐在館事務所)まで30分近く歩いたが、すれ違ったのは50人もいない程度。歩道も広いし、道路も広いが人口密度は低い。

1階はきれいにリニュウアルされているが、2階から上はボロボロという建物もある。

日本大使館が入っているビルに行き、1階にいた警備員のおじさんに聞くと、今日は休みだと言う。残念。同じビルにシティバンクがあったので、そこでドルをおろす。

テンゲに両替することも考えたが、今はどんどん落ちているらしいので、1日様子を見ることにして、今日は両替せず。

帰りがけ歩道にあるキオスクをのぞく。新聞が20種類ほどあるところもウズベクやキルギスと違う。トルクメやウズベクでは新聞はないに等しかったし、キルギスも少なかった。だが、ここのキオスクには多種類の新聞が並び、雑誌も豊富。なお、ビシュケクではキオスクで普通にヌード専門の雑誌がぶら下げられて売られていたが、ここではそうしたものは売られていない。

数ある新聞の中から英語のものを探す。1紙だけ「Central Asia Monitor」と英語でタイトルが書かれた新聞があったので、それを買う。お値段45テンゲ(約30円)。新聞は安い。

宿に戻ると同室のおじさんたちが部屋にいた。50歳は過ぎていそうなおじさんと40代前半くらいに見えるおじさんの二人。ロシア語で挨拶。

自分のベッドに座り、さっき買った新聞を広げてみると、なんと英語なのはタイトルのみで、記事は完全にロシア語だった。おじさんたちがロシア語が読めるのかと聞いてきたので、読めないと答える。それで片言ロシア語と仕草で英語かと思って買ってきたら違ったと言うと、言葉は不十分だったものの意図は伝わったらしく笑っていた。

そこへ韓国人の彼が戻ってくる。彼は同室の16歳の少年のボクシングの試合を見に行ってきたらしい。今、10代のボクシング大会が行われているらしく、その大会に出る選手がこの宿に多く泊まっているらしい。彼は今晩のバスでトルキスタンというまちに行くらしいが、バスは遅い時間のためしばらく部屋で待機のよう。

彼を加え4人で話ながら夕食。ぼくがビシュケクで買ったパンを取り出すとおじさんの一人がそれを取ってビリビリに裂いてみんなで食べようと提案する。おじさんたちは魚の缶詰やビスケットを供出。一緒に食べる。が、ビスケットはどうやったらここまで湿気るのかと聞きたくなるくらい湿気ていた。ビスケットの端を持って振るとしなるし、口に入れてみるとすでに誰かの口の中にしばらく入っていたんじゃないかと思えるくらい湿気ている。

韓国人が通訳となり、おじさんたちと話す。聞いてくるのは他と同じ。年齢はいくつだ、結婚しているのか、なぜ結婚していない、どこから来たのか、どこに行くのだ・・・といったような質問。本当にここらの人は、というよりも世界の人(いわゆる先進国をのぞく)は、結婚話が好きだ。中でもここらの人は必ず聞いてくる。もっとも話しかけてくるのはぼくより年輩の人が多いから、みなたいてい結婚している人で子どももいる人が多い。こちらとしてはなんで結婚したのかと聞きたいとところだが、あえて突っ込まず。

20時頃、韓国人が去る。同室のおじさんの一人が彼を見送りに出たので、そこで会話は終了。ぼくはベッドで『罪と罰』を読む。残ったおじさん(大学教授)はヒューレットパッカードのノートパソコンでなにやら作業を始める。

『罪と罰』を読み始めたものの寝ころんでいたら眠くなり50ページも読まないうちに寝てしまう。

Fin

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