2011年3月7日月曜日

[diary]カーシーから和田へ

カーシーから和田へ

2009/02/22(日) 晴れ
[Kashgar→和田:China]
レート:1米ドル=6.8元=91円

※時間は自治区の時間

・バスで和田へ
・砂漠ときどきまち
・たばこ臭いバス
・でこぼこ道
・ヒマラヤ見えず
・和田着

暗いうちに目覚めてしばらく書き物。

新彊時間の7時過ぎ、明るくなってきた頃に宿をでる。外はひんやりとしていた。まだ人通りは少ない。

歩いて近くのバス停に行く。そこから10番のバスに乗る。運賃1元。

バスターミナル近くで降りて、100mほど歩いてバスターミナルへ。

和田行きのチケットを買おうと窓口に行ったら、次の和田行きは新彊時間の11時発だと言う。てっきり1時間ごとくらいにあるかと思っていたし、それらしきことを書いている看板があったので、前日に時刻表を調べていなかったのが裏目に出た。しかも8時発のバスがあったものの、つい10分ほど前に発車した模様。3時間も待たねばならぬことになる。

しょうがないので11時発のチケットを買う。バスのチケット代は89.5元(約1500円)。けっこう高い。100元札を渡すと釣りが足りない。釣りが足りないと仕草で伝えると、窓口の女性はチケットを指さす。チケットを見ると2枚紙があって、1枚はバスのチケットだが、1枚は保険などと書かれてあった。その保険が3元するらしい。保険なんていらないんだけど、と思いつつ、そういう決まりになっているのかと思い、とりあえず納得する。

3時間もあるので、時間つぶしに本でも読むことにする。ビシュケクの宿で入手した『列子』を読む。漢文と書き下し文と日本語訳が書かれているためページ数のわりに内容は少ない。日本語訳だけ読んでいくとあっと言う間にページが進む。

これを読んでいると、今更ながら日本語で漢文と読んでいるものは、つまりは中国語なんだと改めて思う。だったら書き下し文なんて面倒なことを勉強させるよりも中国語を勉強させた方がすらすら読めていいんじゃないかとも。発音さえクリアできれば中国語の文法なんて英語なんかと比べればだいぶ楽だし、中国語と日本語の漢字を比較したりするだけでもなかなか楽しめたりする。漢文の授業を廃止して、中国語を!なんて思う。

『列子』の中に朝三暮四の話があったのが意外だった。その他、子どもに聞かせたりするのにちょうどいいような話も多々ある。なかなか面白い。

待合室で読んでいたらだんだんと体が冷えてきて寒くなったので、バスに移動できないか駐車場を見てみる。するとすでにバスは止まっていて乗客も数人乗り込んでいる。近くにいたおじさんにチケットを見せると間違いないようだったので、荷物を持ってバスに移動。

荷物を荷台に積むとき、その作業を手伝ってくれた男が、5元くれ、というようなことを言ってくる。そんなもんやるか、と無視したら、それ以上要求はしてこなかった。

バスのチケットには座席番号があったものの、乗り込んでみるとぼくの座席に他の人が座っていたので、関係ないのかと思い、適当なところに座る。

バスの中は暖かいかと思っていたらそうでもなかった。

しばらく本を読みながら待っていたら、新たに乗り込んできた客が自分の座席のことでなんだかんだと言い出す。そんでバス会社の人らしい人を呼んできて、その人が客のチケットをチェックし始める。こうしてみな座席を移動。ぼくは1番だったので1番前の席に行くが、窓際のはずの1番の席には2番のおじさんが座っていてぜんぜん動きそうにない。窓際がよかったが、おじさんをどかすのも面倒なので、そのまま通路側の席に座る。

バスのエンジンがかかる。

そろそろ発車かと思っていたら通路を挟んで隣に座っているわかめの男と運転手らしいおじさんが大声で言い合いを始める。言葉がわからないので、もちろんなんで言い合っているかわからず。しかし、5分ほどずっと言い合いをしていた。

そのうち収まり、バスは発車する。運転手のおじさんはたばこをくわえながらの運転。それを見た隣の若い男もたばこを吸い始めるが、客はたばこを吸ったらいけないらしく、運転手のおじさんが猛烈にその男を怒る。自分は吸いながら客にだけ注意をするという神経がわからない。運転手は交代要員でもう一人乗っていて、その人もたばこを吸うからこっちは臭くてたまらない。一応、窓を開けて吸っているが臭いが鼻につく。やれやれ、高い金払ってバスに乗っているのになんでたばこの煙を吸わされないかんのじゃ。

バスは舗装された道をとろとろ走る。なんでこんなにとろいんだというくらいとろい。検問というかチェックポイントがいくつもあり、公安と書いたボックスがあるところでいちいちバスは止まり、運転手の一人がそこに行って何やら書類を書いたりしている。

そのうちまちを過ぎて砂漠地帯にでる。砂漠の一本道。ここまで来ると多少スピードがあがるが、だがそれでもたいして速くない。

加えて舗装はされているものの表面がでこぼこしているようで、並みに向かって進むボートのようにかなり上下に揺れる。

砂漠はさらさらした砂の砂漠ではなく、どちらかと言えば土漠的。カタい。

がたがた揺れる区間があったかと思えば今度はスラッ~としたまったく平たい区間になったりする。

ヒマラヤ山脈が右手に見えるかと思っていたが、やや曇っているためか山らしきものはまったく見えず。夏だったら見えるのかな。

そうした砂漠を通った後に集落が現れる。集落といっても見える範囲の家の数からしても数千人は住んでいそうなかなり大きい集落。こうした集落に入って目立つのがロバ車とバイクと荷台をくっつけた乗り物。特にロバ車の数がぐっと増える。一方で客を乗せて走る馬車もある。ロバ車は見た感じ荷物運搬用らしいが、人を乗せて走っているのもある。

そうしたロバ車が前を走っていると、バスの運転手はそこまで鳴らさなくていいじゃないかというくらいクラクションを鳴らす。

ある集落にはビニールハウスがたくさんあった。50mくらいの長さのハウスが目算でも50棟以上ある。ただハウスの形が変わっていた。その形を単純化して言うとおおむね90°と60°と30°の角を持つ直角三角形の形をしていて、一番長い片が底辺(地面)となっている。そして、一番短い片は土で作られていて、二番目に長い片がビニールになっている。だから見た目は、土の中にビニールが張られているような印象を受ける。中で何を栽培しているかは不明。

他にもカマボコ型の普通のビニールハウスもあった。

また集落内には畑もあり。細かく畦で区切った畑が見えるが、作物はほとんど植わっていない。リンゴらしき木々を見る。また棉花畑は白いものが見えたのでそれとわかった。

バスが走る道が舗装されている他はほとんど未舗装の土道。沿道に見える家もほとんどが煉瓦を積んだものか、土壁(内部はおそらく煉瓦で表面だけ土を塗っている)のものがほとんど。長い間回収されていないようで、これで人が住んでいなければ遺跡か何かと思うんじゃないかというような家もあり。

そういう集落ではこの道の沿道がまちの中心部になっていたりするため、その辺りに行くとロバ車とその他の乗り物で渋滞になる。

またそういう集落にさしかかる度にチェックポイントがある。

そうした集落をいくつか越える。

また時折、車を降りてメッカの方向を向いてお祈りしている人たちを見る。が、このバスがそのために止まることはなかった。

時折沿道にこの先のまちの地名などを書いた看板が現れる。ガイドブックでは5~8時間とあったので、8時間近くたった頃、看板に目的地の名前が出てきたとき、もう近いなと思ったがこれが外れ。そのしばらく後に目的地までの距離を書いた看板が現れる。そこにはまだ200km近くあるとあった。がっくり。

新彊時間の19時前には日が暮れるが、まだ着かない。

結局、和田の着いたのは新彊時間の22時近くだった。11時間もかかった。

和田のバスターミナルは既に営業を終わっていたが、なかに入って明日移動する先のバスがあるか壁の時刻表などで確認しようとしたところ、中にいた係員の女性に中には入れないというようなことを言われる。が、それを無視して彼女に話しかける。明日行きたいところを告げると、そこに行くバスはないと言われる。その途中までのバスもないらしい。中国語なのではっきりわからなかったが、どうもすんなりと行きたいところにはいけそうにない。

それから宿探し。バスターミナルの前の通りには招待所の看板がいくつもあった。なので、近くのところから当たってみたが、ことごとく宿泊拒否される。しょうがないのでガイドブックに載っていた宿に行ったが30元だったのが50元に値上げされていた。他に選択肢もなさそうなので、50元であきらめる。一人部屋ではあるものの施設はしょぼい。とても50元(約750円)の価値などない。

この時間でもまだやっている屋台や食堂はあった。腹の調子がまだ完全には回復していないので、晩飯代わりにバナナを買おうかと思ったらこれが高い。1本1元(約15円)。0.5元で包子(パオズ:肉まん)を食べられるこの国にすると高い。あとで気づいたらやっぱり輸入品。それもエクアドル産だった。

宿が高いことといい、バナナが高いことといい、バスの中のタバコといい、なんだかいらついてきたので、やっぱり食堂で飯をくうことにする。牛肉麺屋があったので、そこで牛肉麺の小を頼む。5元(約75円)。日本のラーメン的で手打ちの細麺に牛のチャーシューが入っているだけ。味はよし。麺はちょっとコシがない。

ここではお茶が出なかったので、帰りがけ商店で水のペットボトルを買う。600mlが1元(約15円)。安いが「配料」という欄に「純粋水」などと一緒に「硫酸●(漢字のフォントなし)」とあるのが気になる。

部屋に戻ってからはテレビでブンデスリーガを見ながらルートを考える。予定では木曜の夜までに西寧まで行くつもりだったが、当初予定していたルートではバスの乗り換えがけっこう多いようだし、ここみたいに安い宿に泊まれないとなると出費が嵩む。これで金曜日までに西寧に着かなかったら月曜日のビザの最終期限日に延長手続きをすることになり、それがもし数日かかるとなったらオーバーステイの罰金など面倒なことになる可能性もある。できれば金曜日に延長手続きをしに行って、ダメだったら一気に香港かベトナムかラオスまで行ってしまおうかと思っていたが、どうも当初のルートでは時間もカネもけっこうかかりそうだし、ややリスクが高い。どうするか・・・。

と考えているうちに寝る。

Fin

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