2011年3月7日月曜日

[diary]列車でカシュガルからウルムチへ(1日目)

列車でカシュガルからウルムチへ(1日目)

2009/03/01(日) 晴れ
[Kashgar→Urmuqi:China]
レート:1米ドル=6.8元=97円

※時間は新彊ウイグル自治区の時間

・早起き
・メーターを倒さないタクシー
・駅の待合室
・列車の中で

カシュガルの宿。

目覚ましよりも早く目覚める。時刻は4時すぎ。
同じ列車に乗る同室の旅行者を起こす。

5時前、荷支度をしてフロントに降りる。スタッフはベンチで布団をかぶって寝ていた。足音に気づいた警備員がスタッフを起こす。フロントでカードキーを返却し、デポジットの100元を返してもらう。

ホテルの前の通りに立ち、タクシーを捕まえる。

乗ってしばらくしてSさんがメーターがうごいてないんじゃないかと言う。確かに動いていない。なので運転手に言うと何やらごちゃごちゃという。なので勝手にメーターを倒すが、運転手はまた何かという。じゃあ、運賃はいくらだと聞くと20元だという。仕草から早朝割り増しの運賃らしい。確かめると2人で20元と言うので、まぁそれくらいならいいかと許可する。

さすがにこの時間なので車も人通りもほとんどない。

タクシーは駅の駐車場の入り口で止まる。中に入るとお金を取られるらしい。なのでそこで降りて歩いて駅に向かう。見上げれば星空。星の量はたいしたことはない。

駅の入り口にはすでにひとだかりが出来ていた。周辺の売店で低糖のお茶を買う。中国でもペットボトルのお茶は売っているが、甘いものばかり。

駅構内に入る前にチケットのチェックがある。中に人がなだれ込まないように手すりなどで1列になるよう誘導され、係員が一人ずつチケットを確認する。

中に入ったら機械に荷物を通し、その後、待合室に入る。待合室はすでに大きな荷物を持った人たちであふれ返っていた。バスケットコートが1面取れるくらいの広さの待合室がすでにいっぱい。待合室に行くとじろじろ見られる。

発車予定時刻の30分ほど前、乗車が始まる。向かい合っているベンチの列が5本ほどあったのだが、奥の方の列
から順々にホームへと入っていく。我先にとみなが動く。ホームに入ると駆け足で車両に向かう人もいる。

車両は2階建てだった。

車両に乗り込む前に入り口でまたチケットのチェックがある。無座でも車両は指定されいるためその車両の入り口からでないと乗り込むことが出来ない。よってまた列を作って並ぶことになる。適当に並んでいたら駅員らが1列に並ぶよう指導してくる。

車内に乗り込む。みなあんなに急いでいるならさぞかし車内は込んでいるのだろうと思っていたが、意外にもたいして混雑していなかった。座席はないが荷物だけはどこかに置こうと思い、置き場所を探していると乗務員の女性が声をかけてきて、ここに置くように言う。そこは向かい掛けで4人座れる座席だったのだが、荷物置き場にするらしい。椅子の上にリュックを乗せると、その上に、さらにその上にと荷物が積み上げられていく。

通路には荷物を置かせないようで、通路に荷物を下ろしていた人を乗務員は注意し、荷を別のところに移動するように言う。そもそもいくつかの席は乗客が座る席としてではなく荷物置きとして使うことを想定していたようで、あるボックス席に座っていた人を乗務員はどかし、床に置かれていた荷物をそこへ置くように指導する。

リュックを置いてからSさんがいる車両に行ってみる。座席は埋まっているもののこちらの車両もわりと空いていた。他の旅行者から聞いていた話と他の国での体験などからてっきり足の踏み場もないくらいにごちゃごちゃしているのだろうと予想していたのだが、それが杞憂となったので気が楽になる。

列車は予定通り新彊時間の6時40分に発車。外はまだ暗い。

列車が走り出すとすぐに各ボックス席にトレイが1枚ずつ配られる。これがゴミ箱代わりらしい。とりあえずここにゴミを集めておいて、トレイがいっぱいになったら車両に備え付けられているゴミ箱に捨てる、という仕組みになっているらしい。

しばらくするとでかいやかんとバケツを持った乗務員の女性(10代後半~20代前半?)が車両をまわってくる。やかんにはお湯が入っていて、それを乗客に配って回っている。ある人は茶葉を入れたマイカップに、またある人はカップラーメンにお湯を注いでもらっている。車両に給湯器がついているというのはあったが、乗務員がお湯を注いでまわるというのは初めて見た。まさか中国でこんなサービスがあるとはと驚く。なお、このお湯を注いでまわるサービスは発車直後だけのようで、以後は各自が給湯器まで行ってお湯を補給していた。

一方、40代くらいに見える別の女性=車掌は、客席や車両の接ぎ目でたばこを吸っている男たちを注意して回る。中国語の音がただそうなだけかもしれないけれども、それにしても彼女の口調はかなりきつい。本当に親が子どもを叱るような口調で注意している。男たちは特に言い返すことはせず、黙ってたばこを消す。そして、彼女がいなくなるとまた吸い始める。

車内には音楽が流れる。歌なしのトランペットか何かの管楽器による独奏。いろいろな曲が流れるが、そのなかにランバダとKIROROのベストフレンドもあった。

壁にもたれて手帳にメモ書きをしていたら、通りすがりの男たちがわざわざのぞき込んでくる。無視してそのままメモ書きを続けていると、適当に気が済んだところで黙って去っていく。

Sさんはこっちに来てトランプを買ったようで、それを取り出し、マジックを見せてあげようと言う。彼女はトランプを手に扇子のように並べ持ち、マークをこちらに見せ、好きなカードを一枚決めてと言う。ボックス席に座っているウイグル人のおじさんやおばさんはぼくらのやり取りを適当に見ている。彼女は一定の手順を踏んでぼくが選んだカードを当てる。

そうしてデモンストレーションをした上で、彼女は隣に座っていたウイグル人のおじさんに同じマジックをしてみせようとする。おじさんに好きなカードを選んでもらい、一定の手順を踏むのだが、おじさんは何をしているのか理解できていなかったのか、あるいは意図的だったのか、彼女の質問に対して嘘をつく。つまり、この中に自分の選んだカードはあるかと聞く彼女に、実際はその中にあるにも関わらず”ない”と答える。というわけでマジックは成立せず。

彼女は気晴らしに(かどうかはわからないけど、そう見えた)席をたつ。すると彼女の席には山高帽に長い髭を蓄えた長身のおじいさんが座りこむ。そして、動かなくなってしまった。彼女が席の近くに行ってもまったく動じず。どけとも言えない彼女は、無座状態になってしまった。

座席は基本的に2人掛けなのだが、若い男たちは3人で座ったりしている。イスラムの人たちは他人同士でも関係が近いので、端(はた)から見ているとどこからどこまでが旧知の人でどこからどこまでが列車内で知り合った人なのかわからない。

新彊時間の8時を過ぎるとすっかりあたりは明るくなる。車窓から見える景色は一面の土漠。緑がない。

どういうきっかけだったか、隣の車両に座っていた絵描きの若い男がぼくらが話をしているところに入ってくる。彼の左脇には画板。彼は片言英語で話しかけてくる。そして絵を描かせてほしいというようなことを言う。そう言われたのは彼女の方で、そういうわけで彼女はそこでモデルとなる。

しかし、通路では人通りが多くて落ち着かないため彼の席へ移動。彼と同じボックスに座っている誰かが席を空け、そこにSさんが座る。彼はその向かいに座って彼女の肖像画を描き始める。すぐにまわりに人だかりができる。

その様子を見ていたら、彼の仲間らしい別の絵描きの男が声をかけてくる。というわけで、ぼくもモデルに変身。

彼が描き始めると通路を挟んで向かいの席に座っていたやはり彼らの仲間らしい女性の絵描きが画板を持ってぼくたちのボックスに移動してくる。というわけで、ぼくはそれからしばらくの間、二人に見つめられることになった。

こちらにも人だかりができる。だから絵を描いている2人以外の人からもじろじろと見つめられることとなる。

Sさんの方が先にモデル終了。出来上がった絵を見せてもらう。一筆書き的な描き方の絵で、まるっきりそっくりというわけではないが、けっこう似ている。

ぼくは見られる役が続く。

同じ車両の反対側の方からウイグルギターをかきならす音が聞こえてくる。それに合わせて歌う男の声も聞こえてくる。Sさんはそちらに行って音楽に合わせ踊ったりしていたらしい。

男の絵描きさんの方は、鉛筆の消費が早い。4Bだからというのもあるのだろうが、30分程度で研いだ芯を使い果たしてしまう。やじ馬のおじさんは絵を描いている彼の顔の前に携帯電話をかざし、絵の写真を撮ろうとする。彼は邪魔そうな顔をするが、特に文句は言わず。

先にあがったのは男の絵描きさん。出来上がるまで1時間ほどかかった。そこへさっきSさんの絵を描いた別の男の絵描きさんがやってきて、今度は彼がぼくを描きはじめる。女の絵描きさんはまだ進行中。

結局、モデルの仕事は1時間半ほど続いた。三人三様の仕上がり具合でどれも力作。最後に絵と一緒に記念撮影。

一仕事終えてまた通路に戻る。Sさんの席には相変わらずおじいさん(実は60代前半?)が座っている。

車内を見回して目に付くのはトランプゲームをしている人たち。けっこうな数の人たちがトランプゲームに興じている。やっているのは日本で言う大富豪というゲームのよう。

車内には定期的に車内販売が回ってくる。食堂車で作ったばかりらしい、本格的な弁当や麺料理もまわってくる。飲み物やお菓子やつまみを売って回っている若い男の添乗員は、どこに行っても通路に人だかりができているからいちいち退(ど)くよう言いながら売り歩いている。しかも車両は2階建てだから1つの車両で2車両ぶんの仕事がある。なかなか大変。

定期的にと言えば、床掃除も頻繁になされる。お湯を注いで回っていた乗務員の女性は、ほとんど1時間おきくらいのペースで床を掃いたり、モップで拭いたりしている。そして、その度にけっこうな量のゴミを集めてくる。

昼時になるとカップラーメンなどのにおいが車内に充満する。

洗面所では2歳くらいの子どものうんこの手伝いをしているお母さんあり。うんこは洗面所の床に直接発射。床の端には穴が開いているので、した後でそこに流しているっぽい。

アク・スーという駅で絵描きさんたちは降りていった。

新たに乗り込んできた子連れのおばさんは、ぼくが立っている近くに荷物を持ったままやってきて落ち着く。が、そこへ車掌の女性がやってきて、荷物を移動せよと注意する。車掌さんはまたボックス席をつぶして荷物置き場にする。おばさんはボストンバッグの他に荷物でパンパンになっている肥料袋を持っていた。おばさんは先にボストンバッグを移動させる。おばさんの子どもは残された肥料袋を運ぼうするが、背が低いこともあり持つことができない。

そうした様子を見ていたので、荷物を動かすの手伝おうと男の子に近づくと、男の子はぼくが近づいてくるのを見た瞬間、見事と言いたくなるくらいに驚いて、目をふるわせ大声で何をか叫び、母親の方へ駆け出す。この旅では見つめただけ、あるいは近づいただけで子どもを泣かすということを何度かしてきたが、ここまで驚かれたのは初めて。

駆けてきた息子を見て母親は何が起こったかわかっていなかったが、Sさんと同じボックスに座っていたおばさんが事の成り行きをウイグル語で母親に説明する。母親はそれを聞いて微笑む。男の子はすぐに落ち着き、苦笑いしている。Sさんも現場をしっかり見ていたようで、またいいネタができたと言って笑っていた。

ぼくは男の子の機嫌取りに手裏剣を作る。適当な紙で折っていると例のごとく通りがかりの人がのぞき込んでくる。

出来上がったものをSさん経由で男の子にプレゼントすると嬉しそうに受け取ってくれる。通りがかりの女の子が手裏剣を羨ましそうに見ていたので彼女のためにと今度は箱を折る。折っていたらすぐに通りがかりの人等に取り囲まれる。さっきの男の子もやってきて、折る様子を見ている。あげようと思っていた女の子はその男の子の後ろにいた。出来上がった箱を彼女に渡そうとすると男の子は自分へのプレゼントだと思ったらしく、男の子が取ってしまった。

男の子は嬉しそうに紙箱を手にする。そして、それを頭に乗せて”??(ウイグル語でムスリムの人がかぶる帽子のこと)”と言う。ぼくは箱を作ったのだが、彼にはイスラム帽子に見えたらしい。

Sさんが座っているボックス席の通路を挟んで向かいには、若い大学生くらいの男たちが座っていたのだが、その中の一人がぼくに今作った箱=帽子を自分にも作ってほしいと言ってくる。なのでまた作ってプレゼント。そしたら彼の友達たちはそれを解体して、その紙を使って別のものを作り出す。彼の仲間の一人がチューリップの折り紙を知っていて、それを作っていた。

ちなみにそのウイグル人の若い男はウルムチの大学に通う学生だった。外国語が専門らしい。中国語の他にロシア語がほんの少しできる。彼はテレビで覚えたらしい日本語を連発する。彼が知っている日本語は”よし”だけのようで、「よぉーし、よし、よし」などと言う。野次馬で集まっていた別のウイグル人のおじさんは”バガ”と言う。なんのことかと思ったらSさんが”バカ”って言っているのだと解説してくれる。

ぼくは中国語はまったくと言っていいほどわからないし、Sさんもぼくよりわかるもののそれほどわからないので、ときどき紙に字を書くよう頼むのだが、大学で外国語を専攻しているという彼以外には中国語をきちんと書ける人はあまりいなかった。

彼が日本語はどんな文字だと言うので、Sさんが漢字とひらがなを書いてみせるのだが、漢字を見てこれは日本語ではなくて中国語だと彼は言う。

まぁ、そんなことをしながら時間をつぶす。途中の駅で人が降りたとき適当に車内をふらついていたら空いている席をすすめてくれるおじさんがいたので、そこに座ってしばし寝たりもする。

新彊時間の21時過ぎ、Sさんが座っていたボックスに座っていたおばちゃんたちが席を移動する。なので、ぼくはようやく席にありつくことができる。やっぱり心おきなく座れるのは気分がいい。

しかし、ぼくらが何かしようとするとすぐに人だかりができたりするので、だんだんぼくは相手にするのが億劫になってくる。動物園の檻の中にいる動物たちの気持ちがわかった感じ。幸いSさんが彼らの相手をしてくれるので、ぼくは彼女に彼らの相手を任せ、本を読んだり、ボーとしたりする。

深夜をすぎると眠りにつく人たちが増えたのだが、一方で、そんなのお構いなしにギターをかきならし、歌う人々もあり。やれやれ。なんでそんなに元気なんだ?

Fin

4 件のコメント:

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